ブロックチェーン活用で不動産がどうかわるか?新しい不動産の持ち方とは|LIFULLインタビュー

インタビュー

さまざまな領域で活用できる可能性があるとして、注目されているブロックチェーン技術ですが、まだまだブロックチェーンベースのプロダクトは多くはありません。そんな中、不動産領域において積極的に活動されている株式会社LIFULLの松坂維大さん(以下、松坂さん)にブロックチェーンと不動産の可能性についてお話をうかがいました。

松坂さんは、株式会社LIFULL(旧ネクスト)に入社後、「LIFULL HOME‘S」の営業・企画・マーケティング等に携わり、その後、新規事業からのスピンオフで立ち上げた株式会社LIFULL FinTech代表取締役を経て、現在は株式会社LIFULLにて「ブロックチェーン×不動産」をテーマに活動をされています。

SNSで偶然出会ったビットコインという存在に衝撃を受けた

松坂さんはブロックチェーン領域について、かなり早くからウォッチされていた印象がありますが、いつ頃から関心を持たれていたのでしょうか?

松坂さん
2012年頃だったと思いますが、SNS上でたまたまでビットコインという存在を知り、中央に依存しない仕組みに衝撃を受けました。

2016年から2017年にかけてビットコインやブロックチェーンに関係する書籍が増えてきた印象を持っていますが、当時はあまり情報源がなかったのではないですか?

松坂さん
たまたま、高校時代からの友人がビットコインについて知っていまして(笑
ビットコインについて情報交換をしたり、議論をしたり、実際に購入してみたりすることで理解を深めていきました。

身近なところで、ビットコイン・ブロックチェーンに関心を持っている人がいたのは羨ましいですね。

不動産とビットコインにある共通項。情報に対する価値の共通認識

2017年頃からブロックチェーン領域での活動を本格化されてきていると思いますが、「ブロックチェーン×不動産」の親和性についてどのように思われていますか?

松坂さん
土地や建物には何か情報が書いてある訳ではなく、広さや所有権などは登記簿など外部台帳の履歴で真正性が担保されています。この台帳はビットコインなどのブロックチェーンと同じ考え方で、情報を閲覧する人々に唯一の共通認識を作り出し、円滑に取引できるようにしようとしています。

こういった類似点もあることから、不動産領域とビットコインの中核技術であるブロックチェーンの親和性は高いと考えています。

なるほど。一方で、情報量の多い不動産に対して共通認識を持てるような外部台帳が存在するのかという疑問もあります。1つの物件に対して、不動産仲介やポータルサイト、インフラ企業、自治体などさまざまなプレイヤーが情報を持っている状況のため、物件に対する見え方がそれぞれ変わったりするのではとも思います。

松坂さん
不動産領域における、情報の共通性、正確性、リアルタイム性が担保されていないという問題については、ご指摘の通りで不動産情報コンソーシアム「ADRE※1」での活動を通じて、改善を目指します。具体的にはブロックチェーン上に不動産のIDを設け、分散・分断化された情報を繋げていくというアプローチです。

まずは、データ連携するためのルールやセキュリティ対策、また、不動産情報の共有プラットフォームDBを用いたビジネスモデルなど議論した上で、早期に社会実装できるように取り組んでいきたいと思っています。

※1補足
「ADRE-不動産情報コンソーシアム-Aggregate Data Ledger for Real Estate」は不動産情報のデータをオープン化し、質を高め、課題を解決してくことを目的としており、ブロックチェーンを活用することで、業務の効率化やスムーズな不動産取引の実現を目指している。LIFULL、NTTデータ経営研究所、NTTデータ先端技術に加えて、全保連、ゼンリン、ネットプロテクションズらが加わり共同での検討が開始された。

「ブロックチェーン×不動産」の先にあるのは新たなライフスタイル!?

今後、ブロックチェーンなどを用いて、物件情報や所有者の情報をわかりやすく管理できるようになると、どのような変化が考えられますか?

松坂さん
不動産自体がトークンのように扱われる可能性も十分にあると思っていて、そうなると、僕らが抱いている不動産へのイメージが大きく変わってくると思います。

不動産がトークン化することで、不動産取引が仮想通貨のようにいつでも誰とでも好きな単位で簡単にできるようになります。取引の手間とコストが下がれば住み替えがしやすくなり、例えば、自分のライフステージに合わせて住む場所を変えたり、悩んでいる物件に試しに住んでみたりということがしやすくなる世の中も十分に考えられます。

おわりに

不動産領域はデジタル化が進んでいない部分もまだまだ多いと聞きますが、一足飛びにブロックチェーン最適化を図れる領域なのかもしれないと感じました。ブロックチェーン×不動産は国外でもいくつもプロジェクトが発足しており、今後注目の領域であると感じました。